前立腺癌の基礎知識

転移がある場合や病巣が大きい場合でなければ、前立腺癌の予後は良好な傾向にあり、生存率も高くなっています。もっとも、年齢が高い患者さんが多いため、他の原因でなくなるケースもありますし、体力的に衰えていることも多く見られます。それでも、症状の進行が遅いため、年齢によっては治療を行わなくても余命に影響がない場合もあります。

前立腺癌の罹患率が高まるのは65歳以降です。近年は増加傾向にありますが、これにはいくつかの原因があります。

1つ目は、日本が長寿社会になったことで高齢人口が増えていることです。年齢が高くなってから罹患することが多いため、高齢者が少なければ患者さんも少ないのです。今後も高齢化社会になっていくことを考えれば、ますます前立腺癌が増加傾向をたどることが予想されます。

2つ目は食事の変化で、動物性のたんぱく質や脂肪が増えたことが関係しています。食事の変化が罹患リスクを大きくする原因になっているのです。

3つ目のポイントとして、検査の精度の向上です。PSA検査の登場によって、早期発見できることが増えています。このため、発見できることが多くなったため、今までなら潜在的な患者さんとして表立って見つからなかった方でも、がんであることを発見できるようになりました。

アメリカでは、男性が罹患するガンの中でもっとも多いのが前立腺癌となっていますが、日本でも2015年の段階で2000年の倍の死亡者数になるという予測もあります。それだけ一般的な疾患であることを男性は理解しなくてはなりません。

症状の進行には時間がかかりますので、初期症状のうちなら十分に治すことができます。ただし、初期症状は特に兆候がないため、自覚するのが難しいという問題を抱えています。したがって、自覚はなくても検診を受けておくことが早期発見に役立ちます。

病期(ステージ)はAからDに分かれており、進行するほどに生存率が低下します。病巣が大きいものは、初期の小さな病巣のものより治療成績が落ちますし、転移があれば末期になってしまうこともあります。特に骨に転移しやすい傾向にあり、骨転移は痛みや骨折によって日常生活の支障をきたすこともありますので、そうなる前に対処することが大切です。

泌尿器科の病気となりますので、病院選びの際には泌尿器科のレベルが問題になります。名医や権威と呼ばれる専門医がいる泌尿器科を見つけることができれば、安心して治療を受けることができるでしょう。

治療としては、ガン治療に広く用いられる手術や抗がん剤、放射線治療のほかに、ホルモン療法を使います。ホルモン療法は内分泌療法とも呼ばれ、男性ホルモンの遮断によって症状の進行を抑えるものです。このほかにも、前立腺癌にHIFUや重粒子線を用いる場合もあります。HIFUや重粒子線は新しい治療法です。

それぞれの治療法には長所や短所がありますので、それぞれをよく理解してから治療計画に同意するようにしましょう。曖昧なままに納得したことにしないで下さい。

前立腺癌の治療

治療法には、手術や抗がん剤、放射線療法といった広くガン治療に用いられている方法のほかに、ホルモン療法が用いられています。男性ホルモンによって症状が進行する傾向にあるため、抑制することによって進行を防ぐ方法です。精巣を手術で切除する方法もありますが、現在では薬によって行うのが一般的です。

ホルモン療法に使用する薬剤としては、LH-RHや女性ホルモン剤、抗男性ホルモン剤といったものがあります。ホルモン療法は全身両方ですので、転移がある場合にも使用できます。転移した先のガン細胞においても、前立腺癌の性質を引き継がれているため、ホルモン療法が有効なのです。

ただし、ホルモン療法は使用を続けることで効果が薄れ、症状が戻ってきます。これは再燃と呼ばれる現象です。この場合には、抗がん剤治療に切り替えることもあります。

ホルモン療法や抗がん剤の場合には、同じ薬剤を使用していると効用がなくなっていきます。したがって、完治は望めないものの長期間の生存が見込まれる場合には、できるだけ長く効果を持続できるようにしておく必要があります。

放射線療法には、外部から照射する外照射のほかに、病巣の近くに放射線を発する物質を埋め込む組織内照射法があります。組織内照射法においては効果が半年程度持続し、その後は取り出す必要がありませんので、そのままにしておきます。

治療法の選択にあたって

どのような治療を行うかによって、当然ながら予後は変わっていきます。目先のことだけではなく、長期的な展望も含めて考えておく必要があります。基本は主治医に任せることになりますが、患者さんとしても前立腺癌についての基本的な知識は学んでおいたほうがよいでしょう。

症状の進行はゆっくりしている傾向がありますので、一般的には生存率が高く、治らない場合であっても診断を受けてから長期間生きられることが珍しくありません。だからこそ、治療が有効な期間についても考えておく必要があるのです。

前立腺の場所と機能

前立腺は膀胱の下にあり、尿道を囲むような形で位置しています。付近には恥骨や直腸があり、直腸から触れて調べる検査である直腸診を行うことがあります。男性に特有の臓器で、成人で15グラム程度の小さなものです。

機能としては、前立腺液の分泌や膀胱の出口の開閉があります。

がんが治る可能性を無視しますか?
前立腺がんにこんな方法があったなんて・・・

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